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2016年2月11日 (木)

「海外の本は日本語で読んだほうがいい」ってホントなの?(2)

  前回の続きです。

「海外の本は日本語で読んだほうがいいと思いますか、それとも原書が読めれば読めるようになったほうがいいと思いますか」というテーマです。

  元マイクロソフト社社長の成毛眞氏は「英語を勉強するのは無意味だ」と主張し、また「これだけ翻訳文化があるのだから、わざわざ洋書を読む必要はない、海外の本は日本語で読め」と述べておられます。

 しかし私は「原書が読めるようになることはそれなりの価値がありますよ」と主張したいのです。

 そう思う理由を述べてみたいと思います。

 第一に、翻訳で読める本の数には限りがあります

 考えてみればすぐ分かることですが、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど英語が母国語(もしくは事実上の母国語)になである国々で発行されている英語の書籍のすべてが日本語に訳されているわけではありません。翻訳出版されているのは、ごく一部の本に限られます。

 私がこういえば、成毛氏なら「価値のある本はだいていは翻訳されているはずだから、翻訳書で読めば十分」と反論するかもしれませんね。

 しかし、私はそうは思いません。

 私は数十社の出版社とのお付き合いがあるから分かるのですが、出版社はどんなに良い本であっても、「売れそうにない」と判断した場合、出版化を検討することはありません。すべての出版社がそうだとは断言できませんが、少なくとも数十人の編集者と実際に会って話した経験のある私はそのような印象を受けています。

 つまり、「読む価値のある優れた良書」でも「売れそうにないから」という理由で翻訳されていない場合が山のようにあるのです。

 分かりやすい例を挙げましょう。

 私は以前、イングランドの大学の神学部で学んでいたことがありました。

 私はまず基礎的な知識を日本語の本で詰め込もうと思って、日本語で書かれたキリスト教の本を探しました。しかし、英語で書かれたキリスト教の数に比べれば、日本語で書かれたキリスト教の本(含、翻訳書)の数は微々たるもの。

 日本は「過去に全国民の1%以上がクリスチャンだった歴史が一度もない」という国なのですから、日本語で書かれたキリスト教の本が少ないのは当然です。

 一方、アメリカはクリスチャンが8割を占めるキリスト教の国ですから、キリスト教関連の本も莫大な数あります。

 そういう事情もあり、私は英語圏の国で出版されているキリスト教関連の書籍で勉強をつづけることとなりました。その経験からも、キリスト教を勉強するとき、原書が読めるようになっておいたほうが読める本の数が遥かに多い、と言いたいのです。

 これはキリスト教関連の本だけにかぎりません。

 私はイングランドの大学の哲学部でも学んでいたことがありますが、哲学関係の本にしても、日本語に翻訳されていない優れた本は驚くほどたくさんあります。

 日本語の本しか読めない人は、そういった本は(翻訳されないかぎり)一生涯読めないままです。

 成毛氏のように「英語を勉強するのは無意味だ」とか「英語ができてもバカはバカ」とか「これだけ翻訳文化があるのだから、わざわざ洋書を読む必要はない」とかいって最初から原書を読もうとしなければ、日本語に翻訳されない本は一生涯読めないままです。

 それは考えようによっては、もったいないことだと思います。

 成毛氏は「別にもったいなくはないよ、私は翻訳書だけで十分だよ」と反論するかもしれません。

 もしそう反論されたとしたら、私は「あなたがそう思うのだったら、あなたは翻訳書だけ読んでいればいいんじゃないですか? 原書が読みたいと思っている人は原書で読ませてあげてもいいのではないですか」と逆に訊いてみたいのです。

 みなさんは、どう思われるでしょうか。

 私が、原書で読めるようになればそれに超したことはないと思う理由は実はまだあるのです。

 それは次のブログにて…。

 

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