ファイナンシャルフリー

2008年10月27日 (月)

ファイナンシャルフリーになれば何もかもが変わる

 私は、32才で留学から帰ってから、しばらくの間、お金に困っていた。

 一時は借金が40万円を超えていたので、なんとかお金を稼がなければならなかった。考えていることの10割がお金であった。お金、お金、お金…という毎日であった。

 40万といっても、月々返済できる金額がわずかしかないので、なかなか返済しきれなかった。

 留学から帰国してから一年間くらいは英会話の講師をしていたが、英会話教室も不況のあおりでコマ数が激減していた。そんな折、研修費の不払いに関して、私とある男性講師が立ち上がったところ、翌月から私もその男性講師もコマ数をゼロにされた。実質は2人ともクビになったのである。

 もともと私は英会話講師を延々と続けるつもりなどなく、月刊誌にエッセイの連載も始めていた私にとっては「文筆家になるためのいい転換期」であったが、私とともに立ち上がった男性講師にとってはクビは転落人生の始まりだったのかもしれない。その後、彼の母親から、「息子が蒸発した。行き先に心当たりはないか」という電話があった。

 文筆家に転向してからも、やはり最大の関心事はお金であった。とにかく、仕事を次々と入れない限りは食べていけないのだ。その結果、ペコペコ頭を下げてでも仕事を取りに行った。編集者は神様に見えた。

 だから、本の出版を依頼されたとき、相手のいい値で承知せざるを得なかった。

「この本(著書)はね、あなた以外にT氏にも一部書いてもらうので、共著となるから、初版は7%だ。それで書いてくれ。でも初版は2万部刷るから、かなりいいお金になるよ」

 もちろん、覚え書きなど要求できなかった。要求などしたら、仕事を干されると思ったのだ。だまって仕事をしていたほうがいい、そう思ったのだ。

 しかし、執筆が終わった後になって、7%といっていた印税は4%になり、初版部数も20000部のはずが8000部になった。泣き寝入りする以外になかった。

 そういうことは何度かあった。6%だと言っていた訳者印税が出版の直前になって4%になったり、7%が5%になったり…。

 なぜそんなことが起きるのか。なぜ泣き寝入りしなければならなかったのか。

 それは「覚え書き」を出してもらってなかったからだ。「覚え書き」さえ出してもらっていたら、裁判所で戦っても勝てる。しかし、出して貰っていない以上、泣き寝入りするしかない。

 ファイナンシャルフリーになってからの私は、覚え書きを出して貰うか、あるいは、メールなどで「証拠」を残してから仕事に取りかかるようにしている。また、印税率を訊いても、あいまいな返事しかしない場合は最初から引き受けない。

 なぜか。それはお金に困っていないからなのだ。仕事に飢えていなからなのだ。つまり、ファイナンシャルフリーになれば、悔し涙を流す可能性がグンと低くなるのだ。

 お金に困っている人、あるいは、仕事に飢えている人であれば、印税率があいまいであっても、「まあ、多少削られても、まったくゼロってことにはならないだろうな」とか、「まあ、お金よりも、自分の本が出るってことのほうが大事だ」と変に自分をごまかして仕事を引き受けるのだ。しかし、その結果はどうか。

 ファイナンシャルフリーになれば、自由度がグンと変わるのである。条件が気に入らなければ仕事を断れるだけでなく、条件があいまいな仕事すら断ることができるのだ。その結果、悲惨な目にあう事態を自ら事前にふせげるのである。

 では、どうやったらファイナンシャルフリーになれるのか。それは、おいおい、書いていくことにしよう。

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