投資信託は、投資なのであるから、よく考えてからかけなければならない。しかし、リスクを十分に理解しないうちに、他人から勧められて、「儲かる」と思いこんでかけてしまう人がいるようだ。
例えば、年金が少ないからという理由で投資信託にかけたのはいいが、基準価格が下がったため分配金も出なくなり、しかたがないので解約したという人がいる。
どういうかけかたをしたのか分からないが、おそらく、分配金の変動が激しい投資信託だったのではないかと思われる。
投資信託は、分配金が安定していて、毎月分配があるものがお勧めである。具体的には、海外債券型である。あるいは、不動産型も割と安定している。逆に、変動が激しいのは株型である。
さらにお勧めしたいことは、1つに絞ってかけるのではなく、異なるタイプのものに分散して投資することである。分散して投資しておけば、すべてのすべて分配金が出なくなるという可能性はほぼなくなるからだ。
私の経験をお話ししよう。すべては説明しきれないので、特徴的なものを2つ例としてあげよう。具体的な数字を出したほうが、より明確に分かるだろうから、あえて具体的な額を出して説明する。
私の場合、エマージングソブリンに232万円を投資した。一度にではなく、何度かに分けて投資したのだが、その投資額の総額が232万円である。手数料はこの金額の中に含まれているので、実際に使ったお金が232万円ぴったりという意味である。
初めてエマージングソブリンに投資してから、かれこれ3年くらいになるが、いままで受け取った分配金の総合計が日本円で約52万円である。ただし、今は基準価格が驚くほど下がっており、時価は146万円に落ちている。だから今解約したとすれば、結局、232万円を約3年間寝かせておいて198万円にしたことになり、約15%も損をしたことになる。
「なあんだ、3年も寝かせておいて、15%も損をしたのか。それ見ろ、投資信託なんかやるもんではないだろう」
そう思う人もいるだろう。しかし、早合点してはならない。もう一つの例を聞いてほしい。
それはグローバルソブリンである。私が初めてグローバルソブリンに投資したのは、かれこれ5年くらい前であるが、それ以来何度かに分けて投資した総額が410万円である。しかし、今は基準価格がガクンと落ちており、時価は361万円である。ただ、5年間の間に受け取った分配金の総額は約96万円である。つまり、時価と受け取った分配金を足せば457万円になるのだ。410万円の投資が5年間で457万円になっていると考えれば、5年間の投資で約10%増やしたことになるのだ。
この例からも分かるとおり、長く保有していればいるほどリスクが軽減されることが分かるであろう。
基準価格が下がっているからという理由で焦って解約してしまえば、むしろそのほうが損だ。景気には必ず波がある。「自分が得をするか損をするか」ということばかりに囚われず、長い目で投資を考えれば、それだけリスクは避けられるのである。だいたいにおいて、長年放置しておけば、だいたいは元が取れるどころか、かなりの確率で儲かるはずである。
多くの投資信託は、5年、10年、15年…と保有しておけば、いいマネーツリーになってくれるはずだ。逆に、1年や2年だけで判断していては、せっかくのマネーツリーも、すくすくと育ちはしない。儲けよう、儲けよう…と焦ってはならないのだ。
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